リサラーソン Lisa Larson

lisa larson

1931年9月9日生まれ

 リサ・ラーソンは、1931年9月9日にスウェーデンの南部、スモーランド地方・ハールンダで生まれました。父親は熱心な芸術愛好家で、様々な場所に出かけるたびに、家族のために素敵なアート品を手土産に持ち帰りました。家の中はそのような作品があちこちに置かれ、アーティスティックな刺激をそこから受けていました。

 それがのちに、リサラーソンを陶芸家に、妹であるティティをファッションデザイナーになる運命をたどらせたのかもしれません。

     Lisa Larson sketch

 リサの子供のころのスケッチ

 1950年にヨーテボリ大学芸術学部に入学したリサは、自分の志望分野を決めていませんでしたが、アーケ学長の勧めにより陶芸部門に進みます。そこで陶芸と出会うと、この道に進むことを決意し、1954年に卒業するまで充実した日々を過ごしました。

 卒業の年には芸術コンテストに参加し、ライン模様を施したブラウンの花瓶を出品します。これにほれ込んだ、当時審査員の一人であったグスタフスベリ製陶所のアート・ディレクターであるスティグ・リンドベリは、リサをスカウトします。これがきっかけとなり、リサのグスタフスベリ製陶所でのリサのキャリアがスタートすることとなりました。

Lisa Larson vase in a school art contest
芸術コンテストに出品した作品


グスタフスベリでの日々

 

  グスタフスベリ製陶所ではスティグ・リンドベリの他にも、すでに有名になっていたヴィルヘルム・コーゲやベルント・フリードベリ等が在籍しており、彼らからの刺激を受ける日々でした。

リンドベリとリサラーソン

 
 若手の中でも、リサは頭角をめきめきと現し、次々と作品のシリーズを発表していきます。動物や人を主にモチーフにし、可愛らしく見る人がほっこりする作品を数多く世に送り出し、たちまち人気デザイナーとなります。

 最終的に1979年にフリーランスになるまで、26年もの間、グスタフスベリ製陶所で働くこととなります。

本物の猫とネコの作品たち

 
<グスタフスベリで発表したシリーズ一覧>

1955年 PALOMAシリーズ、LILAA ZOOシリーズ

1956年 VARIETEシリーズ、ADVENTシリーズ

1957年 STORA ZOOシリーズ

1958年 ASTRAKANシリーズ、STIMシリーズ、ABC-FLICKORシリーズ、SKULPTUREシリーズ

1959年 TARRAGONAシリーズ、GRANADAシリーズ、STORA ZOOシリーズ、VAGGPLATTORシリーズ

1960年 HARLEKINシリーズ、JOSEFINシリーズ、THALIAシリーズ

1961年 UNIKシリーズ、LARSONS UNGARシリーズ

1962年 BISKOPARシリーズ

1962-1963年 MATILDAシリーズ

1963年 SKOLDPADDORシリーズ、PUDLARシリーズ、MINIATYRERシリーズ、VAGGPLATTORシリーズ

1964年 KAROLINシリーズ、AFRIKAシリーズ、FAGLARシリーズ

1965年 MENAGERIシリーズ、LITEN KATTシリーズ、STORA ZOOシリーズ

1966年 RUNDELシリーズ、VAGGPLATTORシリーズ、STRONGシリーズ

1967年 PIPPI LANGSTRUMP、DRABANTシリーズ

1968年 FAGELSKRAMMA、SAMHALLSDEBATTEN、LEGHORNシリーズ、TRIPP TRAPP TRULLシリーズ、GULDTRADシリーズ

1969年 GULDKNOPP、BLOMLJUSSTAKEシリーズ、BASUN、MEDALJONG

1970年 ROSA、TRAFFICシリーズ

1971年 FJARILSPLATTORシリーズ、POMONAシリーズ、JURAシリーズ

1972年 KENNELシリーズ、ADAM&EVAシリーズ、STRANG

1973年 ISHOCKEYSPELAREシリーズ、SEKELSKIFTEシリーズ

1974年 MASKERシリーズ

1974-1975年 ALL VARLDENS BARNシリーズ

1975年 KATT MURREシリーズ

1976年 SKANSENシリーズ、ANGLALJUSSTAKEシリーズ

1977年 VAGGPLATTORシリーズ、SKULPTURERシリーズ

1978年 NOAKS ARKシリーズ、ADVENTシリーズ

1978年 JULIUS&JULIANAシリーズ、LILLSKANSENシリーズ

1979年 DAMFOTBOLL、FOTBOLLSSPELARE

1979-1981年 UTROTNINGSHOTADE DJURシリーズ

 


1979年~のフリーランス期

 

    1979年リサはグスタフスベリ製陶所を退職し、フリーランスとなり、自分の可能性を試します。

 ホガナス、オーレンス・デパート、JIEセラミック、ローゼンタール、ゲーベル、KF(生協)組合、インターフローラ社、デューカ社 等々と協業し、様々な作品を世に送り出しました。

 リサのヴィンテージ品といえば、グスタフスベリ時代のものが多いですが、この頃の作品もリサのビンテージ品として人気があります。

           JIE社向けにデザインした白鳥


一点もののアート作品

 

 グスタフスベリ時代からリサは自身の自由な創造性を大切にし、数多くの一点ものの作品も制作してきました。量産型では、量産に適したフォルムやデザインをどうしても意識する必要があり、そうではない複雑な形状も自由に表現できる一点ものの作品は、リサにとってはなくてはならない表現の場だったのです。

 一点ものの作品には裏面にリサラーソン自身のサインが入っていることが多く、世界に一点しかないという希少性から、こればかりを集めているコレクターもいるほどです。


1点ものが生まれるリサの工房 

 

1992年セラミックスタジオを設立

 

 1992年、リサはフランコ・ニコローシ、シヴ・ソリンとともにケラミックスタディオン・グスタフスベリ(Keramikstudion Gustavsberg)を設立します。リサが61歳での設立ですから、その精力的な活動力に脱帽しますね!

 その後は皆様の知る通り、ディエチさんやトンカチさんがリサラーソンの作品を日本市場で広め、たちまち日本で人気の北欧デザイナーとなりました。ケラミックスタディオンで生産された作品の半分以上が日本へ輸出されているといわれています。

 そのほか、多くの日本企業ともコラボレーションしており、今では様々な場所でリサラーソンの作品を見かけます。



これからも素敵な作品を作り続けてほしいですね!


参考図書

書籍: 

Lisa Larson - Keramiker MärtaHolkers2014
Lisa Larson : bland lejon och änglar  Gisela Eronn2005
RETRO Lisa Larson (2014)
LISA LARSON GUSTAVSBERG 1954-80 (1994)